富士の巻狩り(ふじのまきがり)【中部地区】
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四日市祭における最も古い形式を今に伝える、南浜田町が奉納する人練り行列。鎌倉幕府初代将軍 源頼朝が富士の裾野で催した動物狩りの様子を、仮装行列で再現したもの。法螺貝・銅鑼・太鼓を鳴らし、体調4.5メートルを超える大猪をはじめとするハリボテの猪やウサギなどが逃げまわり、子供が扮した武者が弓を射て、最後に頼朝公が槍で大猪を仕留める。
安永年間(1772~1781)の資料に登場し、江戸時代の画家・司馬江漢が天明8年(1788)に江戸から九州へ旅をしたおりの日記に、四日市の諏訪明神祭で「富士の巻狩りのねり物を見物す」とあり、以後、戦火にあうことも無く南浜田町で舞獅子とともに受け継がれてきた。
元来は頼朝公は馬に乗り、煌びやかな装束に身を包んだ家来は8名を数えるが、真夏の暑さを鑑みて大四日市まつりへの出演を控えてきた経緯もあり、本年は亥年であることから、子ども武者の負担軽減を考慮した陣容で、22年ぶりの登場となった。また、大猪の担い手や、ウリボウなどに扮した子どもたちは、南浜田町民の他、一般市民に参加を呼びかけて行列に加わっている。
(市指定無形民俗文化財)
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